2023/12/13 22:32

“米作り体験”は、参加者が自分達で食材を育てる知恵と技術を学ぶことに加えて、耕作放棄地を解消し、食料自給率を高めて、近郊農村風景を再生する価値を含んでいます。

そして改めて発見した価値は「子供達にとって学びと自立の場となりえる」というものです。

 

稲刈り・脱穀・籾摺りを終えて、一年最後の田んぼの作業は、はざと言う稲をかけて干す竹の台を解体し、燃やして竹炭にします。同時に籾殻を燻して炭にします。

毎年大量に生えてくる竹は、使い道が無くなって荒れていきますから、どんどん使うことが正解だと思っています。はざだけでなく、不要な竹を炭にして土にすきこんで、来年の田んぼを作っていきます。籾殻燻炭も同様です。

 

土作り、田植え、雑草抜き、稲刈りと、お米の環境を整えて収穫するまでの経験とは全く異なり、炭作りでは火を扱います。

2023年度は子供1人だけ参加しましたので、籾殻燻炭の火が回るのを管理し、また火の中に竹を入れて焼く仕事を任せました。

 

作業の意味を知って、自分の役割、自分の仕事を持ち、

乾ききっていない竹が焼けると弾けて“爆竹”になる―これまで経験したことの無い体験を得て、

大人が見守る中で堂々と“火遊び”を楽しめる

これは男の子にとって興奮する経験であり、米作り体験の中で最も楽しかった活動として心に残ったと、男の子のお母さんから聞きました。

 

最近は農作業で燃やしていると、大気汚染だとか、放火・火事だとか、通りがかった人から大きく騒がれて、通報を受けた警察・消防により作業者が処分を受けることがあります。

しかし野良仕事での野焼きの準備から片付けまで、自宅・学校でのバーベキューやキャンプとは全く異なります。その経験は、子供達が農や自然に関心を持つ、一つの多様性です

 

藤沢の御所見という地区では、野焼きが農作業の重要な地位を占めていることが理解され、多くの方が取り組んでいます。この農村文化が絶えないよう、そして子供達がお米作り体験を通して野焼きを経験して、農に興味関心を持ち、食料生産を楽しむような社会作りを、私達は引き続き進めてゆきたいと思っています。